夏の夜空に輝く「夏の大三角」、秋に見える神秘的なW字のカシオペア座、冬の象徴的なオリオン座。
夜空を彩る星座たちには、それぞれ興味深い神話や物語が隠されています。
古代の人々は、夜空に描かれた星の並びに、神々や英雄たちの姿を重ね合わせてきました。
今回は、季節ごとに見える代表的な星座とその背景にある神話を紹介します。
春の星座
春の夜空には、おとめ座、しし座、おひつじ座などの星座が輝きます。
おとめ座には、青白く輝く1等星スピカがあり、「真珠星」とも呼ばれています。
この星座は豊穣の女神デメーテルがモデルとされ、左手に麦の穂を持つ姿で描かれます。
デメーテルにまつわる神話では、娘ペルセポネが冥界に連れ去られた際、地上に冬をもたらしたとされています。
夏の星座
夏になると、夜8時頃には天の川が頭上から南の空へと流れるように見えます。
この時期、「夏の大三角」と呼ばれる3つの明るい星が目を引きます。
はくちょう座のデネブ、こと座のベガ(織姫星)、わし座のアルタイル(彦星)がその3つです。
日本では、これらの星にまつわる七夕の物語が有名ですね。
いて座は天の川の南端に位置し、半人半馬の姿をした賢者ケイロンがモデルです。
ケイロンは音楽、医術、狩りなど多くの分野に精通し、ギリシャ神話の英雄たちの教育を担当したとされています。
いて座には「南斗六星」という6つの星の並びがあり、北斗七星と対をなす存在として知られています。
秋の星座
秋になると、北の空高くにW字型のカシオペア座が見えてきます。
この星座は「ヘンナで染めた手」とも呼ばれ、アラビアでは女性の指に見立てられていました。
カシオペアにまつわる神話では、その美貌自慢が海の神ポセイドンの怒りを買い、娘アンドロメダが生贄にされそうになる物語があります。
みずがめ座は、少年が肩に担いだ水がめから水がこぼれ出る形をしています。
この星座のモデルとなったのは、ゼウスに見初められたガニュメデスという美少年。
ゼウスは彼をオリンポス山に連れ去り、神々の酒宴で給仕をさせたといわれています。
冬の星座
冬の夜空では、オリオン座が圧倒的な存在感を放ちます。
狩人オリオンをモデルとしたこの星座は、さそり座と対をなす存在として知られています。
神話によると、オリオンはその傲慢さゆえに女神の怒りを買い、サソリに刺され、命を落としたとされています。
おうし座には、赤く輝く1等星アルデバランがあります。この星座は、ゼウスが化身した白い牛の姿を表しているといわれています。
ゼウスは美しい乙女エウロパに一目惚れし、白い牛の姿に変身して彼女を誘拐したという神話が伝えられています。