
夜空の天体を表す言葉は魅力的です。「月」を始めとして、星座や星雲の名前は和名(日本語)で表現されることも少なくありません。
「昴」はプレアデス星団の名前であり、こちらの記事で解説しています。
また火星や木星などの惑星の別名は、こちらで取り上げています。
恒星の和名の一覧表
それでは恒星の和名はどうでしょう?
「織姫」や「彦星」などの七夕の記事でも触れています。
すぐに思い浮かぶのが「北極星」ですね。
その他の星にも和名がありますので、一覧表にまとめました。
ちなみに全天で最も明るい恒星は太陽ですが、日輪、おひさま、お天道様(おてんとさま)などと呼ばれます。
太陽以外の主な恒星の和名の一覧表です。
和名がいくつもある恒星は代表的なものを記しています。
名称 | 和名 | 星座 | 等級 | 季節 |
ベガ | ・織姫星(おりひめぼし) ・織女星(しょくじょせい) | こと座 | 0.03 | 夏 |
アルタイル | ・彦星(ひこぼし) ・牽牛星(けんぎゅうせい) | わし座 | 0.76 | 夏 |
デネブ | ・天の川星(あまのがわぼし) ・古七夕(ふるたなばた) | はくちょう座 | 1.25 | 夏 |
アンタレス | ・赤星(あかぼし) ・大火(たいか) | さそり座 | 0.91 | 夏 |
フォーマルハウト | ・南の一つ星(みなみのひとつぼし) ・秋の一つ星(あきのひとつぼし) ・秋星(あきぼし) | みなみのうお座 | 1.16 | 秋 |
リゲル | 源氏星(げんじぼし) | オリオン座 | 0.13 | 冬 |
ベテルギウス | 平家星(へいけぼし) | オリオン座 | 0.42 | 冬 |
カノープス | ・南極老人星(なんきょくろうじんせい) ・布良星(めらぼし) | りゅうこつ座 | -0.74 | 冬 |
シリウス | ・天狼星(てんろうせい) ・青星(あおぼし) | おおいぬ座 | -1.46 | 冬 |
アルデバラン | ・後星(あとぼし) ・すばるのあとぼし | おうし座 | 0.86 | 冬 |
カペラ | かんびん星、能登星(のとぼし) | ぎょしゃ座 | 0.08 | 冬 |
プロキオン | 色白(いろしろ) | こいぬ座 | 0.37 | 冬 |
ポルックス、カストル | ・二つ星(ふたつぼし) ・夫婦星(めおとぼし) | ふたご座 | 1.14と1.58 | 冬 |
スピカ | 真珠星(しんじゅぼし) | おとめ座 | 0.97 | 春 |
アークトゥルス | ・麦星(むぎぼし) ・麦刈り星(むぎかりぼし) ・麦熟れ星(むぎうれぼし) ・五月雨星(さみだれぼし) | うしかい座 | -0.05 | 春 |
レグルス | 樋掛け星(といかけぼし) | しし座 | 1.4 | 春 |
ポラリス | ・北極星(ほっきょくせい) ・子の星(ねのほし) ・北辰(ほくしん) | こぐま座 | 2.02 | 全季節 |
オリオン座の和名は鼓星(つづみぼし)です。上表の星座で唯一の外来語名称ですね。
オリオンのベルトに位置する三連の星は日本で「三つ星」と呼ばれてきました。タイヤメーカーの飲食店評価よりもずっと前から使われている言葉です。
星座と和名の関係
現在、天文情報として使われている星座の名称は、神様や人物の名前を除けばほとんど日本語に翻訳されています。
しかしそれらはあくまでも西洋の天文学が由来です。
東洋では、違う見方で星空をとらえていました。
例えば北斗七星は、西洋の星座ではおおぐま座の一部です。
しかし日本では、その部分だけをひとつのまとまりと考え「北斗七星」としています。
そこから派生して「七つ星」「柄杓星(ひしゃくぼし)」などと呼ばれています。
恒星の和名はほとんどが中国や日本の文化や風土が由来のようですね。
ところで、レグルスの和名は「樋掛け星(といかけぼし)」ですが「問いかけ星」とも表記します。
しし座は「はてなマーク」を裏返した形で、レグルスはちょうどクエスチョンマークの点の位置にあたります。
だから「問いかけ」・・・これって偶然でしょうか?