平安時代の天体観測者

晴明神社

平安時代の夜の闇はとても深かったのです。人工的な照明がないため、現代の比ではありません。

言い換えれば星を見る環境としては素晴らしかったことでしょう。雲さえなければ夜ごとに満天の星空が臨めたはずです。

NHKの大河ドラマ「光る君へ」の影響もあり、平安時代が話題になっています。そこで今回は平安時代と現代の天文・宇宙に関するつながりを考えてみます。

平安時代の天文学者とは?

    平安時代には天体観測が重要な役割である職業がありました。星の運行などを観測し、その情報を活用する仕事です。

    「星読み」または「陰陽師」と呼ばれていました。

    陰陽師のスーパースター

    陰陽師で最も有名なのは安倍晴明です。「あべのせいめい」あるいは「あべのはるあきら」と呼ばれます。

    小説や映画、ドラマの登場人物として、しばしば取り上げられている平安時代に実在した人物です。陰陽師のスーパースターです。

    安倍晴明のシンボルマークは五芒星(いわゆる星型)で、宇宙とのつながりが表現されています。この安倍晴明に代表される陰陽師たちが、天体観測をしていました。

    不規則な動きをする星たち

    陰陽師たちは星の動きを観測していました。

    多くの星は天空で規則正しい動きをしています。北極星を中心にゆっくりと回転し、時間とともにあるいは日を追うごとに移動します。

    規則正しい星々の中に、おかしな動きをして観測者を惑わす五つの星がありました。これらの不規則な動きの星は「惑う星」すなわち「惑星」と呼ばれます。

    天王星と海王星が発見されるまでは、地上から見える惑星は五つでした。「五」は陰陽師たちの基礎となる考え方の陰陽五行説に通じるものです。

    木火土金水の陰陽五行説

    古代中国で発祥した陰陽五行説は、「世の中は五つの構成要素から成り立つ」と考えます。

    その五つが「木火土金水」です。

    そして方角、色、季節、動物(神獣)などを五つの要素に当てはめていきます。当然、惑星も当てはめられました。

    各惑星の別名とともにご紹介します。

    木星は最も尊い星「歳星(さいせい)
    火星は赤く不吉の前兆「熒惑(けいこく)
    土星は天空を鎮め五穀豊穣をもたらす星「鎮星(ちんせい)
    金星は最も明るく価値のある星「太白(たいはく)
    水星は流水のように早く動く星「辰星(しんせい)

    今につながる天文学

    各惑星の名前は、古代中国の陰陽五行説が発端です。

    平安時代の陰陽師たちは天体観測をして、惑星の軌道も研究していました。

    五つの惑星に太陽と月を加えます。すると、現代でも私達が使用している七曜になります。

    日月火水木金土」は古代中国から平安時代を経て今につながっているのです。

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