七夕の星 織姫はベガ、彦星はアルタイル

七夕のイメージ

夏の夜空で注目の星は、何と言っても夏の大三角でしょう。こと座のベガわし座のアルタイル、そしてはくちょう座のデネブです。日本ではこと座のベガが織姫星わし座のアルタイルが彦星と呼ばれています。

2つの星の間には天の川が横たわり、そこに橋を架けるようにはくちょう座が翼を広げ、大きな十字を描きます。十字の先端部分がデネブで、別名は「あまのがわぼし」です。

七夕伝説は、夏の大三角から生まれました。

七夕伝説

むかしむかしの中国で、機織りの娘と牛使いが恋に落ちました。ふたりとも恋愛が気になり、仕事が疎かになりました。そこで怒った上司は1年のうち、一晩だけしかふたりを会わせませんでした。それが7月7日です。

この夜だけはふたりの逢瀬を助けるように、カササギが橋を架けてくれます。機織りの娘は織女、あるいは織姫と呼ばれ、牛使いは牽牛あるいは彦星です。

日本では、この日に願い事を書いた短冊を笹に結ぶと、願い事が叶うと言われています。さらに針仕事が上手になるように、そうめんを食べる風習があります。

夏の大三角

冬の大三角ほど派手ではありませんが、天の川を舞台にする夏の大三角もとても印象的な星々です。以下の3つの星が夏の大三角です。

こと座のベガ
わし座のアルタイル
はくちょう座のデネブ

織姫星:こと座のベガは太陽を除く恒星では全天で5番目に明るい青い星で、およそ0.03等星です。夏の夜空で一際目立ちます。

彦星:わし座のアルタイル、0.76等星の白い星です。地球からの距離はおよそ16.7光年で、最も近い恒星のひとつです。

あまのがわぼし:はくちょう座のデネブは天の川の中に見えます。明るさは1.25等星ですが、全天の1等星の中では最も大きな星で、白色超巨星です。

天の川とは

夏の大三角と密接に関係しているのが天の川です。ベガ(織姫)とアルタイル(彦星)は天の川の両岸に位置していますし、デネブは天の川の真ん中に見えます。

天の川は無数の恒星なのですが、肉眼では遠すぎてひとつひとつを識別することができません。光の帯として点に横たわっています。これを「夜空の川」とみなしているのです。

太陽系が属する銀河系を「天の川銀河」と呼び、中心方向の無数の星を「天の川」として見ています。

なお欧米では、ミルキーウェイすなわち「ミルクの道」と呼ばれます。乳白色の星の道です。

旧暦で夜空を見上げよう

現在のカレンダーでは7月7日は梅雨の真っ最中です。しかし、七夕伝説は旧暦を基準にします。旧暦は現在のカレンダーに対して、およそ1ヶ月遅れです。ですから通常は8月初旬が七夕です。

そして2025年は旧暦に閏6月が加わるため、8月29日が七夕になります。この頃だと、晴れた夜空が期待できそうですね。

旧暦ですから、7日は半月です。上弦の月になるので、これを船に見立てることもありました。さらに夜遅くになると月が沈み、天の川が浮かび上がってきます。なんともロマンチックな夜を演出します。

夏の大三角の楽しみ方

夏の大三角のもうひとつの楽しみ方を紹介しましょう。3つの星はいずれも1等星なので簡単に見つけられます。このうちベガとデネブを軸にして三角形を反転させると、アルタイルがあった頂点の位置に北極星(二等星)を見つけることができます。

すなわち夏の大三角と北極星で巨大な平べったいダイヤモンドを構成しているのです。北極星も合わせて見つけてみましょう。

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