
夏の夜空に描かれる巨大なS字、それがさそり座です。「夏の大三角」とともに夏の星空の代表ですね。
さそり座の中心に位置するのが1等星のアンタレスで「蠍の心臓」の異名もあります。このさそり座とアンタレスには、有名なライバルが存在します。ここでは、さそり座とアンタレスについて紹介しましょう。
さそり座とは
さそり座は星占いにも登場します。黄道十二星座のひとつで10月下旬から11月中旬ぐらいまでがさそり座です。
黄道は太陽の通る道なので、この時期はさそり座の手前を太陽が通り、さそり座は見えません。ですから夜空にさそり座が現れるのは、この時期とは正反対の季節になります。
さそり座は午後9時頃だと、7月から8月が最もよく見えます。まさに夏の星座の代表格です。
そして冬の星座の代表格と言えば、オリオン座ですね。さそり座とオリオン座が同時に見えることはありません。なぜなら「サソリ」と「オリオン」がライバルだからです。
サソリとオリオン、永遠のライバル
サソリとオリオンには、ふたつの物語があります。
サソリとオリオン エピソード1
勇者オリオンは最強を自慢していました。
「どんな野獣であっても、自分にはかなわない。私こそは最強だ」と。
これが神様の怒りに触れ、神様はオリオンにサソリを遣わし、猛毒でオリオンを殺してしまいます。
ここに登場するサソリとオリオンは、どちらも星座になりました。
冬の夜空で美しい姿を見せるオリオンも、サソリが東の空に昇ってくる頃には、西の空に隠れてしまいます。
逆にサソリが西の空に沈んだのを見計らって、東の空から昇ってくるのです。
さそり座が見られる夏にオリオン座が見られないのは、このためです。
サソリとオリオン エピソード2
勇者オリオンはサソリの毒針で死んでしまいます。これはオリオンが油断をしていたからです。天に昇って星座になったオリオンは、サソリと真っ向勝負の対決を望みます。
それではかなわないサソリは、オリオンが天に現れる頃には、隠れて見えなくなります。オリオン座が現れる冬にさそり座が見られないのはこのためです。
ふたつのエピソードはほとんど同じことなのですが、逃げているのが、オリオンなのか、サソリなのかが違います。
1等星アンタレスのライバル
さそり座の中心は赤い星のアンタレスです。赤くて明るい恒星は珍しく、1等星ではアルデバラン(おうし座)とベテルギウス(オリオン座)、そしてアンタレスと、数えるほどしかありません。この3つのうち、夏に見えるのはアンタレスだけです。
アンタレスのライバルとは?
アンタレスにもライバルがいます。・・・それは、火星です。
赤い星として忘れていけないのが、地球のすぐ隣の惑星である火星ですね。
火星はその赤さゆえに「戦いの星」と言われます。
マーズ、マルス、アレスなどと呼ばれますが、神話に登場する軍神です。
このアレス(火星)に対抗する星として、「真夏の赤い星」が選ばれるのも納得です。
対抗するとは「アンチ」ですので「アンチ+アレス」が「アンタレス」となりました。
アンチ・アレス -> アンティ・アレス -> アンタレス
つまり火星とアンタレスは、ライバル同士です。
アンタレスのことを「アン+タレス」または「アンチ+ターレス」などとして「タレスの反対」と説明する人がいますが、正確には誤りです。タレス(ターレス)は無関係ですね。
さそり座とアンタレスのライバル
今回はさそり座およびアンタレスのライバルについて紹介しました。
夏のさそり座 V.S. 冬のオリオン座
恒星のアンタレス V.S. 惑星の火星
不思議な縁で結ばれているのですね。