
宇宙は謎に満ち溢れ、ほとんど解明されていないと言われています。しかし私達人類は少しでもその謎を解き明かしたいと常に考えていて、それは天文学の歴史でもあります。
16世紀ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーが解き明かした惑星の不思議は、現代の天文ファンも魅了するものです。
今回はケプラーが発見した3つの法則について、わかりやすく説明しましょう。
惑星の軌道に関して 最初の神秘の法則
地球も火星も木星も彗星も月も、その公転軌道は楕円です。しかも公転をされる天体(惑星や彗星であれば太陽)を焦点とする楕円軌道を描きます。
楕円には焦点が2つあり、その片方に中心となる星があるのです。2つの焦点がとても離れていると、細長い楕円軌道になります。これが彗星の軌道ですね。宇宙の遠くからやってきて、太陽の直ぐそばを通り、また遠くへ去っていく星、これこそが彗星です。
2つの焦点が近づくと真円に近くなります。そして重なってしまうと真円です。ですから、真円は楕円の1種類なのです。
地球を始めとするほとんどの惑星や月は、真円に近い楕円軌道を描いています。このことは、惑星の軌道が太陽を含む1つの平面上にあることを意味しており、これもまた宇宙の神秘ですね。
ちなみに太陽に最も近い位置にある時を近日点、最も遠い位置にある点を遠日点と言います。2025年の遠日点は7月4日でした。
惑星の軌道が描く扇形 2つ目の神秘の法則
惑星の不思議はまだまだあります。2つ目の神秘の法則は、惑星が描く軌道と太陽とを結んだ図形に関することです。
この場合、地球を例に取るとわかりやすくなります。地球の公転周期はおよそ365日です。すなわち、1ヶ月でおよそ30度進むと考えてよいでしょう。
中心角が30度の扇形はかなり細長いものです。これが3ヶ月になると中心角が90度の扇形で、これだとかなりはっきりとした扇形を描きます。
さてこの扇形ですが、同じ中心角を持つ時に、太陽に近いところを通ったら当然面積は狭くなります。何しろ楕円軌道を描いているので中心角が同じなら、太陽からの距離が関わってくるのです。
地球の軌道は真円に近いのでそれほど影響はないようですが、彗星の軌道を考えると、太陽に近いところの30度の扇形の面積は、太陽から離れたところの30度の扇形に比べて、極端に狭くなるのがわかりますよね。
しかし不思議なのは一定時間に惑星が進む距離に対して、太陽と描く扇型の面積は常に一定なのです。1ヶ月で描く扇形は必ず同じ面積になります。つまり、太陽に近いところではスピードが速く、太陽から離れたところではスピードが遅くなるのです。
ですから、彗星は太陽の近くになかなか来ないのに、来たと思ったらあっという間に去っていくのですね。
惑星の公転周期は内側が短い 最後の神秘の法則
これってなんとなく感覚的にわかりますよね。太陽の直ぐそばを回る水星の周期は、海王星に比べたらとても短そうですよね。
実際に海王星の公転周期は水星の1000倍ほどあります。
ここにも法則を発見したのがケプラーです。「公転周期の2乗」と「楕円軌道の長い方の直径の3乗」との比率が、すべての惑星で同じなのです。時間と距離を融合した法則なのですが、これも不思議ですよね。
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ケプラーの法則とは?
ケプラーの3つの法則はそれぞれ名前がついています。
第1法則は楕円軌道の法則
第2法則は面積速度一定の法則
第3法則は調和の法則
実はこれら3つの法則は、ニュートン力学と深い関係があり、ニュートン力学ですべて説明がつきます。しかしケプラーはニュートンよりも1世紀ほど早く活躍した天文学者です。
観測データと計算によって法則を導き出したのです。
ケプラーの存在もまた宇宙の神秘の1つかもしれません。