オーロラは多くの人が一生に1度はその美しい光景を目にしたいと願う、神秘的な自然現象です。
しかしオーロラといえば、北欧やカナダなどの極地で観測されるものというイメージが強く、日本で見ることは不可能と思われがちです。
この記事では、オーロラが発生する仕組みから、日本で観測するための条件や方法について詳しく解説します。
オーロラとは何か?その仕組みを知ろう
オーロラを理解するには、まずその発生する仕組みを知ることが重要です。
壮大な自然現象であるオーロラの背景には、地球と太陽の絶妙な関係が隠されています。
オーロラが発生する仕組み
オーロラは、太陽から放出される「太陽風」と呼ばれるプラズマ粒子が、地球の磁場と相互作用することで発生します。
太陽風が地球に到達すると、地球の磁場が粒子を高緯度地域に集中させ、大気中の酸素や窒素と衝突します。
この衝突によってエネルギーが放出され、夜空に緑色や赤色の光が現れるのです。
なお緑色のオーロラは、高度約100km付近で酸素原子が光を放つことで生じ、赤色のオーロラは、さらに高高度での反応によります。
オーロラが発生する地域と条件
オーロラが頻繁に発生する地域は、「オーロラ帯」と呼ばれる高緯度地域です。
この帯は、北極圏や南極圏周辺に広がり、北半球ではカナダ、スカンジナビア半島、アラスカなどが主な観測スポットです。
なぜオーロラ帯で観測されやすいのかというと、前述したとおり、地球の磁場が太陽風の粒子を高緯度に集中させるためです。
しかしオーロラは、地磁気活動が活発になる「磁気嵐」の際には、低緯度地域にも広がることがあります。これを「低緯度オーロラ」と呼んだりもします。
これにより、稀に日本でも観測されることがあるのです。
日本からオーロラを観測するのは可能?
日本でオーロラを観測するのは非常に稀ですが、不可能ではありません。
特定の条件が整えば、日本でも美しいオーロラを目にすることができます。
日本で観測できる条件とは?
オーロラが日本で観測されるためには、地磁気活動が非常に強い「磁気嵐」が必要です。
たとえば、1859年の「キャリントンイベント」では、東北地方各地だけでなく、和歌山県などでもオーロラが観測された記録があります。
また基本的な条件として、夜空が晴れており光害の少ない環境も重要です。
都市部では観測が難しいため、観測するなら自然に囲まれた場所を選びましょう。
太陽の「極大期」は国内での観測チャンス
NASAなどによると、2024年10月には、太陽の活動が活発になる「極大期」に入ったことが発表されました。太陽は約11年周期で活動が活発な時期と穏やかな時期を繰り返しており、今回の極大期は約1年続く可能性があります。
この太陽の極大期には、磁気嵐や太陽フレアが発生することが多くなり、低緯度オーロラを観測できる可能性が高まります。実際2024年10月には、北海道各地でオーロラが観測されており、多くの写真が公開されました。
今後も極大期は続くため、国内でも観測できる可能性が高い時期といえます。
北海道や東北でオーロラ観測の可能性が高い場所
日本でオーロラを観測する可能性がある地域として、北海道や東北が挙げられますが、その中でも特におすすめの場所を紹介します。
北海道・宗谷岬
日本の最北端に位置する宗谷岬は、オーロラが発生した際に観測できる可能性が高いエリアです。特に周囲に大きな都市がないため光害が少なく、晴天の日には満天の星空が広がります。
北海道・陸別町
陸別町は「日本一寒い町」として知られ、空気が澄んでいることから星空観測に適した環境が整っています。
また、光害が極めて少ないため、条件が整えばオーロラが観測される可能性も十分にあります。地元では天体観測を楽しめるイベントが開催されることもあり、観測環境が整っています。
北海道・網走市
網走市はオホーツク海沿岸に位置し、冬季には空気が澄み渡り、夜空の透明度が高まります。稀にオーロラが発生した際には、海沿いの開けた空間で観測できる可能性があります。
北海道・知床半島
世界遺産にも登録されている知床半島は、自然が豊かで天体観測にも適した場所です。冬季は特に空気が澄んでおり、条件が整えばオーロラが現れる可能性もあります。オーロラ以外にも、流氷や冬の夜空を楽しむ観光プランと組み合わせるのもおすすめです。
青森県・下北半島
東北地方では、青森県の下北半島がオーロラ観測の候補地として注目されています。地理的に北方に位置し、周囲に大都市が少ないため、光害の影響が少ないのが特徴です。
これらの地域では、天気予報や磁気嵐の発生状況を事前に確認し、ベストなタイミングで訪れることが観測成功のカギです。
オーロラ観測のための準備と注意点
オーロラ観測は、事前の準備と工夫がカギです。
特に寒冷地での観測には適切な装備と情報収集が重要となります。
観測のために必要な機材と服装
オーロラ観測には、肉眼での鑑賞だけでなくカメラで撮影する楽しみもあります。そのため、高性能なカメラと三脚は必須アイテムです。
シャッタースピードを調整できるカメラや広角レンズを使用することで、より鮮明なオーロラ写真を撮影できます。
また、寒冷地では防寒対策が極めて重要です。特に冬の北海道や東北での観測には、防寒着、手袋、耳当て、そして防寒ブーツが必要です。
体温が低下すると観測に集中できなくなるため、暖かい飲み物を準備するのもおすすめです。
天気・オーロラ予報と観測に適した環境づくり
オーロラ観測には、夜空が晴れていることが絶対条件です。現地の天気予報を確認し、晴天が期待できる日を選びましょう。
さらに、オーロラ予報を提供するウェブサイトやアプリを活用すると、観測できる可能性が高まります。
たとえば、「NOAA Weather & Tides」や「Aurora Forecast」などのアプリを利用すれば、オーロラが発生しやすい時間帯や場所、天気をリアルタイムで把握できます。
また観測する場所の環境も重要です。
光害の少ない暗い場所を選び、不要な明かりを消すことでオーロラが見えやすくなります。寒さをしのぐためには、防寒テントや車中での待機場所を確保しておくと安心です。