天文単位として太陽系の距離を測る基準の1つに
地球から太陽までの距離は、約1億5,000万kmです。この距離は、「天文単位(Astronomical unit=AU)」と呼ばれ、太陽系での距離を表す基準ともなっています。
国立天文台によれば、より正確な地球と太陽の平均距離は、1億4,959万7,870.7kmです。これが、1AUとなります。
例えば、地球1週は約4万kmですので、太陽までの距離は、地球を約3,750週した距離です。
地球から月までの距離は約38万kmとなるため、地球から太陽までの距離は、月までの距離の約400倍と言うことになります。
太陽系の惑星で言えば、太陽から最も近い「水星」の場合、太陽との平均距離は0.3871AUとなります。
太陽系内でのざっくりとした距離感を知るには、AUは便利な単位となり、太陽から木星までは約5AU、土星までは約10AU、天王星までが約20AU、海王星までが約30AUとなります。
近日点と遠日点
地球から太陽までの距離は、常に一定ではありません。それは、地球が太陽を公転する軌道が真円ではなく、少し楕円となっているからです。
太陽に最も近くなる地点は「近日点」、もっとも遠くなる地点は「遠日点」と呼ばれており、現在は近日点が1月、遠日点が7月にやってきます。
2024年の場合は、1月3日に近日点を通過し、その距離は1億4,710万0,632km、天文単位では0.983307AU、7月5日に遠日点を通過しており、距離は1億5,209万9,968km、天文単位では1.016725AUでした。
この2つの差は約500万kmということになります。
夏に遠日点、冬に近日点?
一般的な感覚からすると、暑い夏には太陽に近づき、寒い冬には太陽から遠ざかるのではないか、と思うかも知れません。
ただ、実際は太陽に最も近づくのは1月、最も遠ざかるのは7月となっています(もっとも、北半球とは季節が逆の南半球では、太陽との距離が季節と一致はしていますが)。
500万kmと聞くと大きな差があるように思うかも知れませんが、1億5,000万kmも離れている太陽からすると、わずか3%ほどの差です。
もちろんこの差であっても、太陽からの光量には差が出るため、実際にはまったく影響がないとは言えないのですが、夏に暑く冬に寒くなるのは、太陽からの距離よりも、昼間の時間の長さに違いがあることが、大きく影響しています。このことはまた別の記事で解説したいと思います。
ちなみに近日点と遠日点はつねに一定の時期ではなく、約2万1,000年周期で入れ替わっています。
最近は夏には「猛暑」が話題となっていますが、人類の歴史を超えて、地球の歴史という大きなカレンダーで考えた場合は、近日点の移動は、10万年周期でやってくる「寒冷期」と「温暖期」の時期にも影響していると考えられています。
光の速さで約8分20秒
光の速さは秒速約30万kmです。太陽までの1億5,000万kmを光の速さで進むと約500秒、つまり8分20秒ということになります。これが、太陽から地球に光が届くまでの時間です。
私たちが今見ている太陽は、8分20秒前の太陽と言うことになります。
もし太陽で突然何かが発生したとしても、私たちが知ることが出来るのは、8分20秒後です。
ちなみに、木星と太陽の距離は約7億7800万kmです。もし人類が木星に到達して太陽を見たとしたら、それは約43分前の太陽、ということになりますね。
太陽のことを知りたいなら
太陽のことをもっと知りたい場合は、以下のサイトが役立ちます。
これまで行われてきた様々な太陽観測のデータを見ることが出来ます。また現在の太陽がどの様な活動を行っているか、その観測データも紹介されています。
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現在の太陽活動に関して、分かりやすく掲載されています。予報はレベル別で表示されていますが、特にニュースにもなった「太陽フレア」については、現在の強さが分かりやすく表示されており、興味をひくかも知れません。
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