星が星を食べる!?日食と月食はなぜ起こる?

日食

星が星を食べることがあります。

「食」と呼ばれる天文現象で、日食月食が有名です。実際に食べるはずはなく、太陽や月が一時的に見えなくなるだけですね。この現象は惑星や恒星でも起こり、「惑星食」「恒星食」などと呼ばれます。

「食」は英語で eclipse (エクリプス)で、全世界で観測されています。以前は「蝕」の字が使われていました。読みは「しょく」で同じですが、意味は「むしばむ」です。現在は「食」が一般的です。

今回は日食と月食について解説します。

日食は「太陽」「月」「地球」と並んだ時に

日食は「太陽」「月」「地球」の順番で一直線に並んだ時に起こる現象です。新月の時にしか起こりません。地球と太陽の間に月が割り込んできて、太陽を隠してしまう現象です。

地球から見た太陽の軌道面の黄道と、月の軌道の白道は約6度、傾いています。ですから通常は太陽と月と地球は一直線上ではありません。ただし黄道と白道はクロスしている点があるので、その時に日食が起こります。

地球から見ると太陽と月の見かけの大きさ(視直径)はほとんど同じです。ただし地球も月も楕円軌道で公転しているので、見かけの大きさは微妙に変化します。太陽の視直径より月の視直径が大きくなると皆既日食になり、逆に太陽の視直径より月の視直径が小さくなると、金環食が観測されます。

月食は「太陽」「地球」「月」と並んだ時に

月食は「太陽」「地球」「月」の順番で一直線上に並んだ時に観測されます。太陽光を浴びた地球の影に月が覆われた時に起こる現象で、満月の時だけに見ることができます。地球から見ると太陽と月が反対側にあるので、満月ですよね。

皆既月食が起こっても、満月が全く見えなくなるのではなく、ぼんやりと赤く見えます。これは地球の大気によって赤い光が屈折、散乱されるためで、赤い夕日と似たような現象です。

ぼんやりした赤い月を不気味と感じる人もいますが、きちんと説明できる天体現象ですね。不吉と思わず、見ることができてラッキーと考えたほうが良さそうです。

皆既月食を月から見れば

2025年3月にアメリカで皆既月食が観測されました。日本ではほとんど見ることができなかったので、あまり取り上げられていませんが、アメリカでは大きな話題となりました。

それは地球で皆既月食が起こっている最中に、月から地球を観測したらどのように見えるのかが実映像とともに報道されたからです。

地球で皆既月食が観測されるのは「太陽」「地球」「月」の順番で一直線に並んでいます。地球からは、地球の影に月が入るため月食が観測されます。月からは、太陽の前を地球が横切るのが観測されますが、その横切り方が大胆なのです。

地球から見た太陽の視直径と、月から見た太陽の視直径はほぼ同じです。これは地球から見た月の視直径に近い大きさです。では、月から見た地球の視直径はどうでしょうか?

地球の直径は月の直径の約4倍です。ということは月から見た地球の視直径も、地球から見た月の視直径の約4倍になりますよね。そうなると視直径では月とほぼ同じ太陽の前を地球が通り過ぎたらどうなるでしょう?

月から見た太陽は地球によって完全に隠されてしまいますよね。つまり、地球上では見ることができないような皆既日食を見ることができます。

アメリカが月面に送りこんだ月着陸機が、この現象を捉えアメリカで報道されました。アメリカで大きな話題になりました。(参考記事: https://astropics.bookbright.co.jp/solar-eclipse-diamond-ring-effect

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