
日々夜空に浮かぶ月は、見るたびに形が違います。
細い三日月の夜もあれば丸い満月の日もあり、反対に、全く姿を見せない新月の日もあります。
しかしなぜ、月は毎日形を変えて見えるのでしょうか。この記事では、月の満ち欠けが起こる理由をわかりやすく解説します。
月が欠けて見えるのは“地球の影”のせいじゃない?
月が細く見えたり丸く見えたりするのは、影に覆われているのではなく、太陽の光の当たり方と見える角度の違いによって起こります。
まずは、よくある誤解と正しい理解について見ていきましょう。
よくある誤解「影で欠けている」
月が欠けて見えると、「地球の影で月が隠れている」と考えてしまいがちです。
確かに、地球の影が月を覆って暗くする現象は存在しますが、それはごく限られたときだけ起こる月食という現象であり、地球・月・太陽が一直線に並んだときにのみ起こります。
普段の三日月や半月、満月などの満ち欠けは月食とは全く別のもので、その変化は光と位置関係によって起こる現象なのです。
月は光っているのではなく“光を反射している”
月そのものが光っていると思われがちですが、月は太陽のように光を作り出しているわけではありません。
実際のところ、月が明るく見えるのは、太陽の光を鏡のように反射しているからです。
月の満ち欠けはどうやって起こる?
では、月の満ち欠けが地球の影による現象ではないとしたら、何が原因なのでしょうか。その答えは、月が地球のまわりを公転していることにあります。
月の動きと太陽の光の当たり方がポイント
月は地球のまわりを、約27日かけて1周しています。この動きを公転といい、月の満ち欠けもほとんど同じ周期に沿って繰り返されています。
地球から見える月の形は、太陽の光がどの角度から月に当たっていて、地球から見てどの部分が照らされているかによって変わります。
太陽・月・地球の順で一直線に並ぶと、太陽の光が地球から見て月の裏側を照らすことになり、地球からは明るい部分が見えないため、新月となります。
反対に、月が地球を挟んで太陽の反対側にあるときは、月の全面が太陽に照らされて満月として輝くのです。
同様にして、三日月や半月、十三夜などの、新月と満月の間にある形は、太陽光の当たる部分と地球から見える位置のズレによって、一部だけが明るく見えている状態なのです。
月の形の変化には順番がある
月の形はランダムに変わるわけではなく、必ず決まった順番で約1カ月かけて同じサイクルを繰り返しており、
新月 -> 三日月(細い右側が明るい)-> 上弦の月(右半分が明るい) -> 満月 -> 下弦の月(左半分が明るい) -> 三日月(細い左側が明るい)-> 新月
という流れで変化していきます。
つまりは、月の見え方は月の位置と太陽の光の当たり方によってつくられた、地球から見た光の反射の“見え方”に過ぎないのです。
月の満ち欠けを楽しむ観察ポイント
月の満ち欠けは、ただ知識として学ぶだけでなく、実際に空を見上げて観察することでより理解が深まる現象です。
難しい道具は必要なく、肉眼だけでも十分に変化を楽しむことができます。おすすめは、毎日同じ時間に月の形を記録してみることです。
スマートフォンで写真を撮ったり、手帳やノートに「今日の月は右が光っていた」「少し丸くなってきた」などと書き留めていくと、日ごとの変化がよくわかります。
1週間も続ければ、月の位置や光の当たり方が毎日違っていることに気づくでしょう。
また天気アプリや天文アプリの中には、「今日の月の形」「満月まであと何日」といった情報を教えてくれるものもあります。
事前に見える方角や時間を調べておけば見逃すことも減り、より確実に観察を楽しめるでしょう。
まとめ
月の満ち欠けは、地球と月と太陽の位置関係によって起こる現象です。
地球の影が原因ではなく、太陽の光がどのように月に当たり、それがどの角度から地球に見えているかによって、形が変化して見えるのです。
次に空を見上げたときはぜひ、その日の月がどのような形をしているかを観察してみてください。天体観測が、今までよりも少しだけ豊かなものとなるはずです。







