
JAXAの本社・研究拠点
調布航空宇宙センターは、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)の研究所であり、本社が置かれている施設でもあります。JAXAの施設としては唯一、航空技術の研究を行っています。
1955年に航空技術研究所として開設され、1963年に航空宇宙技術研究所(NAL)に改称。2003年に宇宙科学研究所(ISAS)および宇宙開発事業団(NASDA)と統合し、JAXAが発足すると、本社が置かれ、調布航空宇宙センターとなりました。
施設内には30を超える建物があり、航空産業の成長に貢献する次世代航空技術や、今後の宇宙プロジェクトを先導するための先行的な宇宙技術の研究・開発が行われています。
航空機や宇宙機の空力特性を調べるための大型風洞設備や、国内最大規模のスーパーコンピュータなど、先進的で独自の開発ができる施設となっています。
一般向けに公開されている展示室も設置されており、自由に見学ができます。
なお調布航空宇宙センターには、調布飛行場に隣接して「調布航空宇宙センター飛行場分室」も設けられています。
常設展示では宇宙航空の研究活動を紹介
調布航空宇宙センターには、無料で一般公開されている「展示室」があります。正門を入ってすぐの右手側にある事務棟2号館が展示室となっています。
展示室は「航空ゾーン」「宇宙ゾーン」「基盤技術ゾーン」の3つのゾーンと、「ビデオシアター」「スペース・ミッション・シミュレータ」の5つのエリアからなります。
宇宙ゾーンには、将来の宇宙輸送システム開発を目指す小型自動着陸実験「ALFLEX」の機体や、はやぶさのミッションをゲーム感覚で操作可能な「はやぶさシミュレータ」、月の模擬砂、月極地探査機などが展示されています。
スペース・ミッション・シミュレータでは、水平離陸のスペースプレーンを使用して宇宙ステーションに行くなど、宇宙往還機の飛行や操作を体験することができます。
航空ゾーンには、D-SEND(低ソニックブーム設計概念実証)プロジェクトで使用された実験機主翼の実物や、マッハ2を実現する小型超音速実験機(NEXST-1)の機体などが展示。基盤技術ゾーンでは、風洞体験や数値シミュレーション体験、短距離離着陸(STOL)実験機「飛鳥」に搭載されていた「FJR710ターボファンエンジン」の展示などが行われています。
また屋外には国産旅客機YS-11のコックピットが展示されており、YS-11 退 役 機(機体番号YS-11-118)の計器類や機体の構造が見学できます。
毎年一般公開を実施
調布航空宇宙センターでは、年に1度一般公開も行われています。一般公開では、普段公開されている展示室以外の様々な施設も見学でき、航空に関する実験イベントなども行われます。また普段は公開されていない調布航空宇宙センター飛行場分室も見学できます。
なお、一般公開はこれまで隣接する海上技術安全研究所、電子航法研究所、交通安全環境研究所と同日で開催されていましたが、4施設は広すぎて1日では回りきれないとの声を受け、2025年は試験的に別実開催で実施されました。
通常の見学日には、団体向け(5~40名)に予約も行っており、展示室は予約することで、体験型シミュレータへも優先的に案内してもらえます。
団体向けにはガイド付きツアー(5~20名)も予約制で行われており、展示室を見学するコース(1時間)と、展示室に加えて施設内の設備を1箇所見学できるコース(1時間30分)の2つのコースが用意されています。
JAXAの高校生向け「エアロスペーススクール」の会場にも
調布航空宇宙センターは、JAXAが毎年夏に開催している高校生向けの「エアロスペーススクール」の会場の1つにもなっています。
エアロスペーススクールでは、2泊3日もしくは3泊4日で高校生がJAXAの事業所を訪れ、JAXA職員から直接講義を受けたり、宇宙機・航空機の施設を見学したりしながら、チームで協力して課題にチャレンジします。
会場は年によっても異なりますが、2025年は、調布宇宙航空センターの他、筑波宇宙センター、大樹航空宇宙実験場・北海道スペースポート、角田宇宙センターの4箇所で行われています。
休館日は日・祝日と月曜日、見学は無料
調布航空宇宙センターは、毎週日曜日と月曜日、祝日、年末年始(12月29日~1月3日)が休館となっています。
見学は無料となっており、団体(5名以上)以外は予約も不要です。
最寄り駅からは距離ありバス利用、駐車場はあり
調布航空宇宙センターは、鉄道の最寄り駅からは距離があり、最も近いJR中央線・三鷹駅からでも徒歩40分程度かかるため、バスでの利用が必要となります。
施設北側にある三鷹駅からは、小田急バス「仙川」「晃華学園東」行きに乗り、「三鷹市役所前」下車で徒歩5分、もしくは小田急バス「深大寺/神代植物公園前」「調布駅北口」行きに乗り、「航研前」下車で徒歩2分となります。
JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅からは、小田急バス「武蔵境駅南口」行き乗車で「三鷹市役所前」下車、もしくは小田急バス「調布駅北口」行き乗車で「三鷹市役所前」または「航研前」下車となります。
施設南側にある京王線調布駅からは、小田急バス「吉祥寺駅」行きもしくは、京王バス「三鷹駅南口」行きに乗車し、「航研前」下車となります。
駐車場は若干台のみですが無料で利用可能です。なお一般公開のイベント日には、駐車場の利用はできないため注意が必要です。