
日本で打ち上げられるロケットは、人工衛星を宇宙に運ぶのが主な目的です。そして人工衛星の中には静止衛星がありますよね。気象衛星ひまわりなどが静止衛星です。
ところで、この「静止衛星」は決して止まっているのではありません。むしろ、非常に高速で動いています。それでも「静止」衛星と呼ばれるのはなぜでしょう?今回は、静止衛星について解説しましょう。
静止衛星は移動し続けている?
静止衛星は地球の周りを回っている人工衛星です。ですから宇宙空間で静止しているのではありません。ではなぜ「静止衛星」なのでしょうか?
それは地上から見ると「あたかも静止しているように見える」衛星だからです。地球も宇宙空間を動いているので、地球の動きにシンクロして動けば、地球からの見かけは静止します。
そのためには、地球の自転と同じ速さで人工衛星が公転をする必要があります。つまり静止衛星の公転周期は24時間です。しかも赤道上空でないと静止して見えません。
静止衛星の高度は?
人工衛星の公転周期は、高度すなわち地球からの距離によって決まります。地球の近くを回っている人工衛星の公転周期は短く、地球から離れている人工衛星の公転周期は長くなります。
例えば、国際宇宙ステーション(ISS)は地上から約400kmにあり、公転周期は約1.5時間です。これに対して、静止衛星の高度は約36,000kmです。この高度であれば、公転周期が24時間ですので、地上からは静止しているように見えます。
ISSと比べると随分と離れています。地上からの距離は約90倍、公転周期は約16倍です。
静止衛星の速さは?
それでは静止衛星のスピードはどれぐらいでしょう?
これもISSと比較してみましょう。
静止衛星 およそ時速10,800km
ISS およそ時速28,800km
スピードではISSが3倍近く速いようです。それでも静止衛星は時速1万km以上の速さで動いています。
新幹線のスピードがおよそ時速300km、ジェット旅客機がおよそ時速900kmと比較すると、人工衛星のスピードが実感できますよね。静止衛星は新幹線の36倍、飛行機の12倍で動いています。
静止衛星は意外と離れてる
静止衛星の高度は約36,000kmで、相当離れていますよね。地球の直径が12,765kmですから、地上から静止衛星までの間に地球が約3個近く入ります。
この高度は地球の重力と静止衛星の遠心力から決まります。公転周期が24時間の衛星はこの高度でないと力のバランスが崩れ、公転周期を維持できません。
ちなみに地球から月までの距離が約38万kmなので、静止衛星までの約10倍です。月までの距離の10%近くの軌道を静止衛星が回っているのですね。
静止衛星は混み合っている
静止衛星は、赤道の真上で高度が約36,000kmと決まっています。それ以外の条件だと静止衛星になりません。静止衛星は地上から見ると止まって見えるため、とても便利です。気象衛星や通信衛星として重要な役割を果たしています。
ただし日本で利用できるのは、日本列島から見える範囲の静止衛星に限られます。静止衛星なので、日本列島が見えなくては活用のしようがありません。同様に世界各国で自国が見える静止衛星を活用しています。
静止衛星の軌道はひとつなのですが、その軌道に対して何個も打ち上げられています。その数はおよそ300個です。かなり混み合っているようですね。
※画像はイメージです。