
昴は漢字の他にも「すばる」「スバル」「SUBARU」と、表記方法もさまざまです。
「すばる」が星であることはほとんどの人が知っています。しかし、何座のどのあたりにあるのかは意外と知られていません。
今回は「すばる」に関して解説します。
すばるはおうし座の散開星団
「すばる」があるのは、おうし座の肩先です。
おうし座は冬に見られる星座で、オリオン座のすぐ近くに位置します。黄道十二星座のひとつであり、うお座、おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座と続きますよね。
おうし座の1等星はアルデバランで、牡牛の右目のあたりで瞬いています。
すばるは牡牛の左肩のあたりにある散開星団です。散開星団とは、直径およそ10光年から20光年の空間に、数十から数百の恒星が不規則に集まったものです。
とても若く、高温で明るい星々が星団を構成していて、星々の周囲に星間ガスが青白く輝いています。
「すばる」とは何語?
「すばる」は日本語です。もともと「統ばる」(すばる)で、名詞ではなく動詞でした。「ひとつに集まっている」という意味なので、まさにすばるを表します。
語源としては他の説もあります。万葉集では「すまるのたま」と呼ばれており、「いくつかの玉が結んである美しい首飾り」のことです。中国ではすばるのことを「昴宿」と呼んでいたため、漢字の「昴」が当てられました。
すばるは星6つ?7つ?もっと?
散開星団は、ボーッと見るとひとつの光の塊に見えます。目を凝らすと、あるいは望遠鏡で観察するとひとつひとつの星として見えます。おおよそ6つから7つの星の集まりと見るのが一般的でした。
すばるの正式名はプレアデス星団で、最も有名な星団の1つです。プレアデスとは、ギリシア神話に登場する七姉妹で、アルテミスに仕えてます。つまり、プレアデス星団は7つの星であるという解釈ですね。
一方、日本でのすばるの別名が六連星(むつらぼし)ですので、6つの星と解釈されていました。
目に自信のある人は10以上見えるそうです。望遠鏡で観察すると30個以上あります。実際は、暗い星をどこまで数えるかにもよりますが、100個とも200個ともいわれています。
平安時代も美しく輝くすばる
清少納言が著した枕草子には「星はすばる」と書かれています。
「星は昴(すばる) 彦星(ひこぼし) 太白星(ゆうづつ) よばひ星 少しをかし 尾だになからましかば まいて…」 (枕草子より)
「春はあけぼの」と同じパターンで「星は昴」と言い切っているのですから、相当な入れ込みようです。清少納言はすばるが大好きだったのでしょうね。
なお「彦星」とは、七夕の牽牛ですから、わし座のアルタイルです。次の「ゆうづつ」は、宵の明星すなわち夕方に見える金星です。そして「よばひ星」は、流星あるいは彗星のこととされています。流星説を支持する人も多いようですが、彗星説が有力です。
清少納言が20代の頃にハレー彗星が来ています。枕草子は30代で書かれたので、印象的だった彗星について取り上げたのでしょう。
多くの人に愛される昴
SUBARUは自動車のメーカーの名前ですし、人名の「すばる」さんも人気ですね。
そして、多くの人が好む歌として「われは行く、さらば、昴よ」と「風の中のすばる」が特に有名です。