上野公園にある国内最古級の博物館
国立科学博物館は、1877(明治10)年に創立された、国内でも最古の博物館の1つです。国立としては唯一の自然史・科学技術史に関する総合科学博物館として、様々な活動も行っており、科博(かはく)の略称でも知られます。
上野公園の中に位置しており、公園の中では中央東側のJR上野駅近くの場所となります。隣接地には国立西洋美術館があり、同じく上野公園の中には、東京国立博物館や東京都美術館などもあります。
施設は、地下1階、地上3階建ての日本館と、地下3階地上3階建ての地球館の2つの建物からなります。地球館の屋上には、スカイデッキとハーブガーデンも設置されています。日本館、地球館ともに様々なテーマに分けられた常設展示が行われています。
日本館の建物は旧国立科学博物館本館となり、国の重要文化財となっています。地球館は、1999年に新館(I期)として常設展の展示を開始し、2004年にグランドオープンしました。2006年にシアター36○がオープンし、建物の名称が現在の日本館と地球館に改称されています。地球館は企画展の会場ともなっています。
シアター36○は、2005年の「愛・地球博」の長久手日本館で設置されていた「地球の部屋」が移設されたものです。地球の100万分の1の大きさとなる直径12.8メートルのドームで、1回約6分の映像番組が上映されています。
なお国立科学博物館の上野の建物は、正式には「上野本館」となり、他にも茨城県つくば市にある「筑波研究施設」と「筑波実験植物園」、港区にある「附属自然教育園」が施設としてあります。
常設展示には宇宙関連のテーマも
「地球館」には、地球だけでなく宇宙に関連する常設展示ゾーンも複数設けられています。
地球館1階にある「地球史ナビゲーター」のエリアは、地球館の展示におけるシンボル的なゾーンともなります。宇宙史・生命史・人間史全体をテーマとしており、標本と資料から宇宙138億年の歴史を一望できる展示となっています。
地球館の地下3階では、「自然のしくみを探る」として、宇宙と生命、そしてそれらを構成する物質と支配する法則が学習出来るエリアとなっています。特に「宇宙を探る」のゾーンでは、宇宙全体の構造から、銀河や銀河団、太陽系、恒星、星雲、星団など、宇宙の仕組みやその謎について解説する様々な展示が行われています。
地球館2階の「科学技術で地球を探る」エリアでは、地球を観測している様々な技術が紹介されています。観測ステーションのゾーンでは、人工衛星で観測している地球の色々なデータが、準リアルタイムで更新されており、宇宙から観測されている地球の今の姿を知ることが出来ます。「新たな日本の科学技術の発展」ゾーンでは、日本の宇宙開発を紹介するエリアもあります。
2023年7月からは、前述の「日本の宇宙開発」紹介エリアで、小惑星イトカワのサンプルを地球に持ち帰った探査機はやぶさの再突入カプセルの実物が、常設展示されています。各種のシールドやパラシュートなど5つのパーツに分かれて設置されています。
また2023年3月からは、地球館地下3階の「宇宙見る眼」紹介エリアで、ハワイのすばる望遠鏡の先端にとりつけられていた主焦点カメラの実機が展示されています。すばる望遠鏡の様々な観測実績を可能としたモザイクCCDカメラを直接見ることが出来ます。
宇宙に関する企画展や特別展も
定期的に開催されている企画展や特別展でも、宇宙関連のテーマが取り上げられることがあります。
2024年12月から実施されている「小惑星からのサンプルリターン」展示では、世界で初めて小惑星「イトカワ」「リュウグウ」「ベヌー」の3つから持ち帰られたサンプルが同時に一般公開されるなど、貴重な展示も行われています。
特別展や企画展では、ギャラリートークなどの関連イベントも開催されるため、気になる展示が行われている場合はスケジュールにも注目です。
天体観望公開や大学生向け講座も
「夜の天体観望公開」として、小中学生を中心に誰でも参加可能な天体観望会が定期的に開催されています。
また大学等の学校と連携して「大学パートナーシップ」も行われており、主には大学生や大学院生を対象とした「科学技術史講座」と「自然史講座」が、それぞれ隔年で入れ替えながら開催されています。
休館日は月曜日、18歳未満は入館無料 特別展は別料金
国立科学博物館は、毎週月曜日と年末年始(12月28日~1月1日)が休館となっています。なお、月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日が休館となります。
入館料は、常設展示が一般・大学生630円となっており、65歳以上および、18歳未満・高校生は無料となっています。
企画展は入館料のみでも入館できますが、定期的に開催されている特別展は別料金となります。
チケットは、電子チケットでの事前購入も可能です。
最寄り駅は「上野」駅、駐車場は近隣に複数あり
最寄り駅は、JRの上野駅となり、公園口から徒歩5分ほどの場所にあります。東京メトロ銀座線・日比谷線の上野駅(7番出口)と、京成電鉄・京成本線の京成上野駅(正面口)からは、それぞれ徒歩10分ほどとなります。
駐車場は併設していませんが、近隣には複数の大型駐車場があります。なお上野公園の駐車場は、バス専用と身障者専用のみとなり、一般車用の駐車場はありません。
近隣の駐車場では、上野パーキングセンター(400台)が国立科学博物館の利用で10%の割引きを受けることが出来ます。他にも、JR東日本によるParking in 上野駅前(156台)や、京成電鉄による京成上野駅駐車場(104台)、台東区による上野中央通り地下駐車場(300台)といった大型の駐車場がありますが、日・祝日などは出入り口で渋滞が発生することも多いです。